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暴落相場で気をつけるべき点を「コロナ相場」の経験を踏まえて考えてみる【個人的見解】

2020年6月15日

この記事のポイント

  • 指標やチャートはあくまで参考程度
  • 大型株だからといって安心できない。業種の動向を分析することが大事
  • 投資対象の業種を分散させてリスク管理を行おう
  • 暴落相場は逆にチャンス。普段から慎重に銘柄選びをしておこう

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はじめに

今回のコロナ相場はリーマンショック以来の10年に一度の急落だったと言われています。

 

通常のパニック的な急落であれば、「25日騰落レシオ」などのテクニカル指標が有効に機能し、仮に70%を割り込んだら底値買いの好機となります。

 

しかし、実際は騰落レシオが70%を割り込んでも一向に反発の兆しは見えず、「売られ過ぎのサイン」が点灯した状態で40%まで低下しました。

 

これが示すのは、致死率の点で新型コロナ自体に大きな脅威がなくとも、それが経済に与える影響は甚大であり、未知数の脅威に対しては市場は大きく揺れ動くということだと思います。

 

僕の周りの凄腕の個人投資家でも、市場の反応を見誤り、手痛い損切りを余儀なくされた方は多かったように感じます。

 

通常は有効に働く指標でも、それを過信する怖さを身をもって体感した方も多いのではないでしょうか?

 

今回は、コロナ相場というイレギュラーな相場を踏まえた上で、暴落相場ではどのように振る舞った方が良いのかについてお話します。

 

これからお話することはあくまで一般論であり、絶対視するのは禁物ですが、マイルールを設定する上で有用だと思われるポイントを列挙しました。

 

内容としては、なるべく中立性を保ち、客観的な立場から説明しています。

 

なお、これらは僕自身の経験も踏まえていますが、一般的に有効だとされているセオリーについて解説しています。その点を予め了承した上で、読んで頂けると幸いです。

 

指標やチャートを絶対視しないこと

今回のコロナ相場では、リーマンショック時の下落スピードよりも大きく、過去の経験則が通用しなかった場面は多々ありました。

 

前述の騰落レシオなどの逆張り系のテクニカル指標も利かず、日経平均株価は17,000円前後まで下げました。

 

こういった指標は日経平均株価が2万1,000円台から点灯しており、この水準から果敢にも買い向かった投資家は大きな損失を出したことと思います。

 

未知の相場では過去のデータが通用しない局面は多く現れます。実際、原油先物価格がマイナスに転じたことは今まで経験したことがありません。

 

相場では様々な条件が複雑に絡み合って予測不可能な事態に直面することがあります。

 

こういう場面では目の前の現象に従順になり、予め想定したシナリオに固執しないことが肝要であるように思います。

 

仮に想定とは異なる展開になったら、潔く間違いを認めて新たなシナリオを描く方が後々身を助けることになります。

 

指標やチャートはあくまで参考程度。今回の相場ではこのことの重要性を改めて認識させられました。

 

景気の影響を受ける有名企業の大型株に偏らないこと

有名企業の大型株だからといって飛びついてはいけない

これは投資の初心者の方に良く見られる傾向ですが、銘柄選びの際に「有名な大企業なら安心だ」という安易な判断で、有名企業の大型株を購入してしまうことです。

 

勿論、戦略があれば全く問題ないのですが、大型株だからと言って安心という訳ではありません。

 

実際、大型株ほど世界の景気動向や為替の影響を強く受けやすい。今回のコロナ相場では、海外の主要都市でロックダウンが行われ、これによって海外拠点を持つ企業の多くは大きな影響を受けました。

 

また、円高が進行すると輸出産業である自動車メーカーは減益リスクに晒されます。

 

例えば、最大手のトヨタ自動車は決算発表に伴い会社予想を発表しましたが、営業利益予想は80%減に設定しています。1ドル=105円を前提に営業利益5,000憶円を予定していますが、少しの為替変動でその数値は大きく変わることになります。

 

それでもトヨタは設備投資や研究開発費で前年並みの水準を確保しているので、その点は評価に値します。

 

トヨタ自動車(7203)の週足チャート

 

株価は下落基調にありますが、直近では下げ止まったまま小幅推移しています。

 

日産自動車(7201)の週足チャート

 

その一方、日産自動車は今年1月の株価水準からは半値近くまで下落し、今も低浮上のまま停滞している状態です。

 

自動車株については、円高に大きく振れた場合のリスクを勘案し、当面は慎重になった方が良いように思います。

 

新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、バスや電車などの公共交通機関の利用が控えられる結果、自動車の需要が今後高まるという見方もあります。

 

ただ、これはあまり積極的な材料として捉えるには少し弱いように感じます。自動車株は金融緩和の影響もあって想定以上に下がったとは言えないのですが、かと言って積極的に買い向かうには躊躇してしまう水準です。

 

仮に100円を割り込むような円高になると、業界としても甚大な影響を受けることが予想されます。

 

株価的に完全に底値圏と判断できるまで、様子見のスタンスが吉でしょう。

 

以上のことを踏まえると、新型コロナ問題が終息しても景気が停滞するリスクは依然として残っていると考えた方が自然であるように感じます。

 

景気の影響を受けず、高い利益率の企業を見つけよう

 

銘柄選びをする際は、景気変動に関係なく、ニッチな分野で高い利益率を誇っているような企業をポートフォリオに積極的に取り入れることをオススメします。

 

例えば、クラウド事業や遠隔サービス、サブスク関連などは「アフターコロナ」でも引き続き注目に値するでしょう。

 

トヨタ自動車の時価総額が今後数倍になる可能性は無きにしも非ずですが、あまり現実的ではありません。

 

その一方、時価総額が500憶以下の中小型株が大化けする可能性は大いにあります。

 

暴落相場に直面した際に、こういった中小型株を積極的に狙っていくのは「安いところで買って、高いところで売る」という株式投資の基本を実践する上で現実的な戦略の一つであると言えるでしょう。

 

投資対象を一つの業種に絞らないこと

まず、この点については語弊の無いように言っておきますが、集中投資型の投資スタイル自体が悪いという訳ではありません。

 

実際、大きく資産を増やした人の中にはこのスタイルを堅持した人も多いと思います。ただ、今回のコロナ相場では、外出自粛や訪日外国人数の急減などが影響して、特に航空業、観光業、外食産業などが大きな打撃を受けました。

 

それまで業績を伸ばしていたインバウンド関連の銘柄は軒並み失速。外需の割合が大きい業種でポートフォリオを固めていた人は大きなダメージを受けたことが予想されます。

 

今回の暴落相場は通常よりも突発性が大きく、想定外の要素を多分に含んでいたように思います。

 

株式市場では、あらゆる事態を事前に予想して、それに備えて100%の準備をするのはほぼ不可能です。

 

なので、僕達が出来ることは許容の損失ラインを普段から意識し、損失リスクを最小化する為のシミュレーションを具体的に行っていくことだと感じます。

 

例えば、株価の値動きが相反するような業種をポートフォリオに組み込んだり、内需で着実に利益を出す企業に投資したり、などリスク分散を図ることで損失を軽減しやすくなります。

 

また、下値リスクの小さい高配当株や増配株も積極的に取り入れていくのもリスク管理に繋がるでしょう。

 

番外編

これまで暴落相場で大きな損失を被らない為の心構えについてお話してきましたが、上記に挙げたもの以外でも有効と言われる投資テクニックは存在します。

 

例えば、暴落相場に備えて予め購入したい銘柄のリストを作成し、暴落時に安くなった銘柄を集中的に購入する行為などが挙げられます。

 

コロナ相場に限らず、全体相場が上昇局面であっても年に数回程度の大きな調整は行われます。特に日本の株式市場は海外情勢の影響を強く受けるので、その傾向は顕著でしょう。

 

海外発の暴落相場は恒例行事であると認識し、それに備えて予め対処法を練っておくことは長く相場を続ける上で重要です。

 

実際、パニック相場に陥ると好業績かつチャートが上昇トレンドを描いていた銘柄であっても、暗転した全体地合いに連動して大きく叩き売られることがしばしばあります。

 

ただ、逆に言うと安く手に入れられるチャンスとも捉えられるので、こういった局面では積極的に買い出動すればかなりの高確率で利益を得られるでしょう。

 

個別の業績が悪化した場合はともかく、外部環境の悪化が主要因の場合はチャートも復活する可能性は高いです。

 

今回の相場で言えば、クラウド関連や創薬関連、巣ごもり関連の銘柄の中には3月の底値から短期間で大きく値上がりした銘柄は多くありました。

 

コロナ相場で恩恵を受ける企業を連動ゲームで想起できた人はチャンスを掴んだことでしょう。

 

番外編の投資テクニックとしては、他に「全力買いをして余裕資金を無くさないこと」や「投資のマイルールを徹底的に守ること」などがありますが、これは自明のこととして今回の相場の文脈の中では割愛しました。

 

特に後者は、マイルールを徹底して逆に損失を拡大する場合もあるので、個人的には「時と場合による」というのが正直な感想です。

 

勿論、マイルールを設定し、それを遵守することが損失を拡大させない為の一つの良策だと思いますが、あまりに厳格なルールを設定するとそれに拘束され、柔軟な対応が出来なくなる恐れもあります。

 

したがって、思考の余地を確保した大まかなルール設定の方が実践では融通が利くように個人的には感じます。

 

最後に

今回の記事では、コロナ相場を通して僕自身が感じた点などを踏まえて、「暴落相場でどのように振る舞うべきか」について後学の為に書き記しました。

 

暴落相場で通用する完全無欠のセオリーはありませんが、一方で汎用性の高い有効なセオリーは確実に存在します。

 

これまで述べたセオリーは常識的であり、すぐにでも実践できることばかりだと思いますが、いざ実践するとなるとなかなか上手く行かないのが人間の性です。

 

やはり、投資は欲望との闘いであり、理性と欲望のコントロールを上手に行わないといけません。これは僕自身にとっても常日頃の課題であり、それを克服する為の方法を模索している最中です。

 

ただ、こうして振り返りの材料として記録に残しておくことは、今後の投資人生において無駄になることはないという確信はあります。

 

それは投資はあくまで孤独の作業であり、常に自分の中にある内面的な弱さと対峙する必要があるので、それに真摯に向き合うことが結果として投資成績にも反映されると思っているからです。

 

本記事が少しでも読者の方の一助になれば幸いです。今回は以上です。

 

 

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