トレード論

【完全版】短期スイング概論【銘柄選定からエントリーポイント、そしてエグジットやロスカット基準に至るまで、一連の流れを体系的に解説】

2019年7月31日

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本記事で述べていることは、私が実際に相場に取り組む際に大事にしている基本的なスタンスです。実際には、ここで述べたことを相場環境によって若干アレンジし、具体的な場面に適用しています。ただし、コアな部分に変更はありません。そして、本記事は初心者の方を想定読者として書いています。分量の関係上、説明を簡略化した部分もありますが、短期スイングにおける私なりの考え方をコンパクトにまとめました。

考え方を伝える以上、ブログとしてはかなりの分量となっています。その点をご理解した上で、本記事を読んで頂けると幸いです。では、今回の記事で述べることを目次にて確認することにします。


以上が、今回の記事の概要です。タイトルに「短期スイング概論」とある通り、それぞれの場面において、基本的な考えを中心に述べていきます。時折、用語の説明もする予定ですが、それよりも根本的な思考について掘り下げるつもりです。それでは、早速行きましょう。

0.はじめに

株取引を上達させる為には、「自分に合ったトレード手法を確立させることが重要である」と言われます。これはある意味では当然のことであり、闇雲にトレードをしても思うような結果は出ません。戦略的にトレードをしなければ、単なるギャンブルに終始します。では、「自分に合ったトレード手法」とは何でしょうか。その答えは一意的には定まりません。

人それぞれ適性は異なり、デイトレードを得意とする人がいれば、長期的なスパンで割安な銘柄にじっくり取り組むことを得意とする人もいます。時間軸が異なるだけでも、トレード手法は多岐にわたる。特に初心者の場合は、知識と経験が不足している分、どれが自分に合ったトレード手法なのかよく分かりません。

株についての本を眺めると、「身近な企業に投資しよう」などと書いてあります。自分の生活に身近な商品やサービスを扱う企業ならば想像力が働きやすいということなのでしょう。個人的な意見をいえば、これは少々不親切な回答ではないかと思っています。身近な企業だからといって、業績面まで考え、そこから将来の株価まで想像することは初心者にとっては容易なことではありません。

企業の財務諸表を読む為には会計学についての基本的な知識が必要であり、チャートを分析する為にはメジャーなテクニカル理論について学習しなければなりません。手元に潤沢な資金があれば、面倒なことを考えずに「横綱相撲的なスタンス」で臨めば良いでしょう。

ただ、大抵の投資家は元手となる資金はあまり多くありません。そして、少ない元手をなるべく短期間で効率的に増やしたいと思っています。そういった観点からは、「身近な企業に投資しよう」という回答は極めて不親切だと言えるのです。では、どういった企業に投資すれば良いのでしょうか。私の回答は極めてシンプルです。

それは「時間軸を短めに設定し、業績の進捗率が良く、日足・週足のチャート形成が綺麗な銘柄に投資すること」です。

こういった銘柄はトレードする際のリスクを低く抑えられるのが大きなメリットです。もちろん、初心者の段階でそういった銘柄を効率的に探すのは難しいでしょう。そこで、銘柄選定からエントリーポイント、そしてエグジットやロスカット基準に至るまで、一連の流れを体系的に記述したいと思っています。

ただし、今回の記事では、目新しい知識は登場しません。それよりも、基本的な知識を組み合わせ、それをマーケットの中でどのように適用させるのかに力点を置いています。トレードにおいて最も重要なことは、「目の前の現象をできるだけシンプルに眺めること」であると思っています。

株取引においては、複雑に見える現象を複雑に読み解くことは実益があるとは言えません。マーケットを支配するのは人間心理です。分かりやすい流れにしか人は動きません。そうした基本的な心理を知ることの方が大いに役立ちます。今回の記事ではそういったことを踏まえて、項目ごとに概論を述べたいと思います。詳細な説明はあえてしません。あまりに細かな議論に立ち入ると、かえって頭が混乱するからです。

初心者の場合は大まかなフレームワークを早めに理解する方が理に適います。個別具体的なことは実践の中で解決する方が良いでしょう。では、具体的に見ていきます。

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1.短期スイングでは「成長株(=グロース株)」に投資が基本原則

株取引で最初に直面する問題は「どの銘柄を選ぶべきか」でしょう。銘柄選定は非常に難しい問題です。銘柄選定といえば、四季報を片手に自分なりに良いと思った銘柄をピックアップし、それをリスト化して実際に取引する銘柄を決定するというのが一般的です。これは一つの有効な手段です。

ただし、初心者の段階で四季報に掲載されている内容を正確に読み解き、それを基に取引対象とする銘柄を選定するのはなかなか大変な作業です。決算書の細かな数値を読み解くには専門的な知識が必要となります。大半の個人投資家は専門的な知識がありません。なので、あまり細かな部分に立ち入ろうとするとかえって頭が混乱します。したがって、四季報を読む際には見るべきポイントを絞った方が良いでしょう。

そして、より重要なのは、短期スイングでは「成長株(=グロース株)」に投資する方がリスクが低いということです。ここで一口に銘柄と言っても、その種類は多岐にわたります。中には投資対象としてはリスクの高い銘柄も存在します。

例えば、低位株(=株価が相場全体の中で相対的に低い銘柄。通称、ボロ株)や仕手株(=投機筋によって人為的に株価操作されている銘柄)などです。こういった銘柄はチャートが不安定であり、時間軸に細心の注意を払わなければ大ケガをしてしまいます。初心者が安易に取り組むのはかなり危険です。ある程度、場数を踏んだ後で挑戦することをオススメします。

そこで、短期スイングでは「成長株」に投資することを基本原則とします。では、どうやってそういった銘柄を発掘するのでしょうか。その手順についてこの章では説明したいと思います。

1‐① 「決算書」では売上高と経常利益の推移に注目すべし

まず最初に、「成長株」とは何かについて簡単に説明しましょう。

成長株とは、端的に言うと「売上・利益がともに増加傾向にあり、今後も増収・増益が見込まれる銘柄」のことです。

成長株とはまさにその名の通り、現在進行形で成長しており、なおかつ将来性のある銘柄と言えます。株価は過去の業績に基づいて動くものではなく、将来の業績を織り込んで推移する特徴があります。したがって、将来性のある銘柄でなければ投資する妙味は生まれません。

短期スイングではリスクをできるだけ抑えたトレードを心がけるべきです。業績面からも上昇トレンドを描いた銘柄を選定する方が賢明だと言えます。

そこで、決算書を眺める際にも、売上高(=企業が商品を販売したり、サービスを提供したりすることで得られた収益の合計数値)と経常利益(=本業以外の事業も含め、日常の経済活動によって得られた利益)に注目します。

初心者の段階では、とりあえず両者の数値が毎年増加傾向にあることを確認するだけで良いでしょう。

そして、特に当期・来期も増加予想であることが重要です。

前述の通り、株価は将来の業績を見据えて推移するからです。次に、銘柄選定以上に重要なチャートについて述べていきましょう。

1‐② 銘柄選定以上にチャートの形状を重視すること

結論から先に言います。

銘柄選定においてはチャートの形状が何よりも重要です。

これは、再現性の高い基本原則であると言えます。チャートの形状は投資家心理を反映しています。例えば、チャートが右肩上がり、つまり上昇トレンドを描いている銘柄なら、それはその銘柄に取り組む大多数の投資家が「買い目線」で眺めている証拠だと言えます。

チャートの形状は嘘をつきません。いくら業績面で優れていても、チャートが崩れている場合は手出し無用です。上述したように、業績面で上昇トレンドを描いている銘柄を選定した方がリスクは低いです。

ただ、株価は将来の業績を織り込むという性質を持っているので、すでに急騰・急落している場合はチャートの形状に如実に表れています。したがって、銘柄選定以上にチャートの形状に留意すべきでしょう。そこで、どういった点に注意したら良いのでしょうか。

後述しますが、短期スイングの基本はトレンドフォロー(=順張り)です。上昇トレンドを描いている銘柄を扱うのが原則です。

初心者が失敗する多くの場合はカウンターフォロー(=逆張り)に挑戦してしまうことにあります。株価だけを重視し、「値ごろ感」だけで安易に飛びついてしまうのです。株取引をバーゲンセールに参加しているのと同じ気持ちで取り組むと痛い目に遭います。

株価は需要と供給のバランスで成り立っています。需要が高ければ株価は上がります。そして、株価が上がるかどうかを判断する際に一番重視されているのがチャートの形状であると言っても過言ではありません。自分が「買いだ」と思うのではなく、マーケットの参加者が「買いだ」と思わなければ株価はダイナミックな動きを見せないのです。だからこそ、投資家心理が反映されたチャートの形状を最重要視するのです。

短期スイングは「ある特定の短い時間軸を切り取って、ボラティリティ(=価格の変動率。つまり、値幅のこと)を重視する手法」です。

チャートが上昇トレンドを描き、なおかつ今後もトレンドが継続すると予想できる銘柄に取り組むのが短期スイングで勝率を上げる前提条件なのです。そのことを念頭に置くだけでも、投資効率は高まると言えるでしょう。

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2.チャート分析は短期スイングにおける「本丸」

短期スイングにとって「本丸」となるのはチャート分析です。チャート分析に最も時間を割くべきであると言っても過言ではないでしょう。よくある勘違いに、「業績が右肩上がりなら、株価も右肩上がりになるはずだ」というものがあります。これは特に初心者の時に犯しやすい間違いです。株価は将来の業績を織り込んで推移していくものであると述べました。これは正確に言うと、半分は正しいですが半分は間違っています。

確かに、継続的に好業績の銘柄のチャートは右肩上がりに推移していくことが多いです。ただ、それは「長期的に見れば」の限定付きであり、短期的には乱高下している場合も少なくありません。短期スイングにおいては、売買のタイミングを最も重視します。業績が良いというただその一点で売買するのはハイリスクです。企業の業績を分析する能力に長けた投資家でも投資成績が振るわないのは、チャート分析を軽視している点にあります。

「適正株価は最終的には業績に近づく」というのは一つの事実ですが、それがいつそうなるのかは誰にも分かりません。分からないものに大事な資産を投資するのは本末転倒でしょう。短期スイングでは資金拘束のリスクをなるべく抑えつつ、着実に利益を上げることに力点を置いています。そういった点から見ると、今現在の株価の推移を表しているチャートを重視するのは当然の帰結です。

この章では、実際にどうやってチャートを利用した売買を行っていくのかについて説明します。ただ、チャート分析についても見るべきポイントを絞って解説します。専門的な用語を多用してもあまり意味はありません。細かな知識はベースとなる基本的な姿勢が身についてからでも遅くはないでしょう。

2‐① トレードの基本はトレンドフォロー(=順張り)

まず最初に、トレードの基本について述べておきましょう。短期スイングにおいては、トレンドフォロー(=順張り)を基本とします。トレンドフォローとは、株価が上昇トレンドを描いている時に買いのスタンスで臨み、トレンド転換(=下降トレンドに移行)した時に売却するというトレード手法です。流れに沿った売買をするので初心者にも分かりやすいです。

トレンドフォローの反対にカウンターフォロー(=逆張り)というものがあります。これは、株価が大きく下落した局面で、後に反転することを期待して買いを入れることを言います。この手法は特に中級者以上に好まれますが、ここではオススメしません。というのは、逆張りは流れに逆らったトレード手法であり、どこで反転するかの予測が難しいからです。

もちろん、場数を踏めば後述するテクニカル指標を駆使して反転ポイントを見極めることはある程度可能となります。しかし、短期スイングにおいては「リスクを最小限に抑える」ことを主眼にしています。したがって、初心者にとって分かりやすいトレンドフォローを採用する方がリスク管理という観点からは最善であると言えるでしょう。

実際、個人投資家の多くが失敗する原因の一つに、安易な逆張りをすることが挙げられます。それまで高値圏で推移していた銘柄が反落し、株価的に安くなったところで購入してしまいます。こういった「値ごろ感」だけで売買するのはなるべく避けた方が良いです。「ここまで下げたら流石に反発するだろう」という目論見は大抵外れます。購入した時点から更に下落スピードを速めるのは良くあることです。

一般に、株価は上昇スピードよりも下落スピードの方が大きいです。上昇トレンドを描く銘柄でも短期的に見れば乱高下を繰り返します。そして、売りが出ても買いが相対的に優勢なので上昇トレンドを描くのです。反対に一旦天井をつけると買い手不在の状況となり、一気に売りが優勢となります。買いがそれまで続いても、それは将来の売り圧力となることを意味します。したがって、売りが売りを呼ぶ展開となり、下落する際のスピード感は必然的に増してしまうのです。

こういった点を踏まえると、上昇トレンドに沿った売買をする方が初心者にとっても判断の猶予があるので安心だと言えるでしょう。では、実際にどうやって売買するのかについて次で説明していきます。

2‐② 日足と週足のチャートはセットで眺めること

チャート分析をする際には、日足と週足のチャートをセットで眺めることが基本です。他に月足もありますが、これは時間軸が長めに設定されているので、日足・週足よりは優先度は下がります。ここで、トレードの時間軸について簡単に述べます。まず、短期スイングにおいては「2日~2週間程度」をマーケットにおける滞在期間とします。スイングトレードはデイトレードよりも時間軸は長いですが、正確に定義することは困難です。

株関連の本を参照しても、時間軸の上限は「数週間から数か月程度」と定義づけは様々です。したがって、ここでは便宜的に「2週間」と設定します。この上限に合理的な根拠を見出すのは難しいですが、2週間程度の時間軸であれば地合いの影響をさほど考慮することなくトレードに臨むことができます。もちろん、後述するようにトレンド転換するまでは同じ銘柄を追っていくので上限は更に伸びることはあります。ただし、その場合でも予め時間軸を設定するほうがメリハリのあるトレードをすることができます。

トレードにおいては、資金拘束されてしまうリスクをできるだけ排除することが望ましいです。マーケットに長期間滞在すると、それだけ資金拘束のリスクは高まるからです。ちょうど天候と同じように、相場においても大局的な流れが存在します。同じような調子で漫然とトレードしていると急な天候の変化(=地合いの悪化)によって、思わぬ損失リスクに直面してしまいます。短期スイングは、勝負すべき局面にだけ勝負し、あとは静観の立場を守る手法とも言えます。流れに逆らったトレードはしないのが鉄則です。以上のことを踏まえると、チャートを分析する際は、日足と週足の二つの時間軸で事足りると言えます。

次に、この両者をセットで眺めるメリットについて述べます。大抵、チャートを分析する際には日足をベースに考える投資家は多いでしょう。チャート分析と言えば、日足のチャートを中心に説明されることが多いからです。しかし、週足とセットで考えることでより精度の高い考察が可能となります。銘柄選定の際に、業績面で上昇トレンドを描いている銘柄を選ぶことを推奨しました。こういった銘柄は業績に対する期待値が株価に反映されている場合、週足が緩やかな上昇トレンドを描いていることが多いです。それはつまり、当該銘柄に参加している投資家の多くが一定の時間軸を設定し、買い目線で眺めているのだと判断できます。

したがって、日足と週足がともに緩やかな上昇トレンドを描いている銘柄はトレードするリスクは低いと言えます。そういった意味でも、両者をセットで眺めることで得られるメリットは大きいのです。では、実際に日足・週足のどこを見てトレードするのかについて実践的な話に移っていきましょう。

2‐③ エントリーポイントとロスカット基準を設定する際の注目ポイント

(a) 移動平均線でトレンドを把握。水平ラインで「節目」を意識

ここまで説明してきた多くのことは、既に色々な書物で言及されているものです。もちろん、実際のトレードにおいて必要な部分だけを抜粋し、表現内容をアレンジして体系的に記述しています。知識の多さに比例してトレードが上手くなるのではありません。理屈でカバーできるのは全体の6割程度だと言ってよいでしょう。あとは、実際のトレードの中で勝負勘を身に付けてトレードスキルを向上させていきます。何事においても、ルールだけを学んでも上達しないのです。基本的なルールを理解したら、あとは実践あるのみです。

「型」を知らなければ型破りな行動を取ることはできません。その「型」となるものをここで提示していきたいと思っています。短期スイングに限らず、多くの投資家が悩むのは「どこで買って、どこで売るのか」でしょう。これについては「絶対にこれだ」と言える方法はないのですが、低リスクで効果的な方法は確実に存在します。それについて述べていきます。まず、エントリーポイントとロスカット基準をどこに設定するのかについてですが、これは移動平均線と下値支持線・上値抵抗線を基準に考えます。ただ、下値支持線と上値抵抗線には一つ注意すべき点があります。それは、両者はともに水平に結んだラインを利用するということです。

一般に、下値支持線と上値抵抗線は斜めのラインが多く、トレンドを把握する為に引かれます。ただ、実際に引いたラインが機能するかどうかは確証が持てません。いわゆる「ダマシ」も多く存在するので、機能性の観点からは、あまり実用的であるとは言えないでしょう。その点、高値と安値を利用した水平ラインは「節目」を見るには非常に有効です。実際、水平ラインを意識したトレードは「節目」が見つけやすく、下値支持線や上値抵抗線として意識されることが多いです。後述する「酒田五法」との相性も良く、ローソク足の配列とセットで見ると、トレードの戦略が立てやすいです。水平ラインはシンプルかつ実践的なラインであると言えます。

移動平均線については、日足では5日線と25日線、週足では13週線を参考にします。短期スイングにおいてはこの3つの時間軸で十分です。移動平均線はトレンドの大まかな流れを把握するのに役立ちます。そして、多数の投資家が実際に参考にしています。チャートを見る際は、多数の投資家が参考にしているであろう指標に着目することが重要です。その点から見ても、移動平均線を活用しない手はありません。ここで、「上値予想をすることに意義はあるのか?」について一言述べておきましょう。

投資家の多くは株価がどこまで伸びるのかに最も大きな関心を抱きます。ただ、上値を正確に予想することは現実的とは言えません。確かに、株価はEPS(=Earnings Per Share 「一株当たりの純利益」)×PER(=Price Earnings Ratio「株価収益率」)で計算されるので、企業の予想EPSとその業界の平均PERから大まかな予想は可能です。しかし、株価を決定づける最大の要素は需給です。需給が良好でなければ、こういった計算は絵に描いた餅になってしまいます。したがって、上値の予想は参考程度に留めておくべきでしょう。

それに対して、下値の予測は短期スイングにおいては非常に重要なポイントとなります。短期スイングにおいては、できるだけリスクの低い位置でエントリーすることを重視します。そのリスクを計算する上で、下値支持線・上値抵抗線というのは大きな役割を果たします。上昇トレンドを描いている銘柄が下値支持線で反発すれば、それは「押し目」となり、上昇局面での買い場となります。ちょうど、階段の踊り場のようなイメージであり、株価的には小休止の状態です。

ここで、実際のチャートを例に具体的なイメージを持ってもらいましょう。

(b) プレミアグループ(7199)のチャートで具体的に考察

プレミアグループ(7199)の日足チャート

これはプレミアグループ(7199)の日足チャートです。移動平均線は上から5日線・25日線の並びで上昇トレンドを描いています。ブログ「Mr.Kabuskyの投資論」(現在は改称)で当該銘柄についての分析を行ってきました。実際にエントリーポイントについて言及したのは8月30日以降のことです。ここで下値支持線と上値抵抗線をどう扱うについて簡単に説明します。8月30日に4265円をマークした後、株価は下落基調になりました。エントリーポイントを考える際は、どこが下値目安として意識されるのかに注目します。時間軸を少し後ろにずらすと、3835円(6月15日)と3770円(7月26日)が目に入ります。これは当時の高値であり、それぞれを結んだ線が上値抵抗線(水平ラインとして扱います。実際の場面では厳密な水平ラインは必要ありません。3770円~3835円の幅を持った水平ラインとして扱うことで十分)です。

3770円をマークした後は、前回高値の3835円手前で失速しています。これはダブルトップと呼ばれるもので、通常は一旦天井をつけたサインとして認識されています。実際、8月13日には3040円をマークしており、この下落基調の中で「値ごろ感」だけで購入してしまうと含み損になってしまいます。短期スイングにおいてはこういう局面では手出し無用とするのが鉄則です。日足チャートに戻ると、3040円をマークした後に急騰しています。ここでようやくエントリーポイントについて真剣に考えることになります。

仮にこの局面でエントリーするなら、3835円を明確に上抜けたところをポイントにすべきです。上値抵抗線はチャート上における上値予想の一つの目安となります。上値抵抗線は心理的な節目として意識されやすいです。3835円を明確に上抜けたならば、心理的な壁がなくなるので新たな買い手が出現しやすいと言えます。実際、チャートからエントリーポイントを探る投資家は、上値抵抗線を明確に突破するかどうかに注目します。上値抵抗線を明確に突破すれば、そこからもう一段上のステージに移行します。そして、上値抵抗線だったラインは次のレンジ(=範囲)においては下値支持線として機能します。上記のチャートで言うと、3835円を明確に突破すれば、そのラインが今度は下値支持線として機能するということになります。

実際、3835円を突破してからは上げ足を速めています。これは心理的な節目を突破したことで上値を追いやすくなったのでしょう(もちろん、実際には価格帯別出来高などを参照して上値が軽いかどうかの判定を行います。プレミアグループの場合は3835円を突破すれば上場来高値を更新する局面であり、上値は必然的に軽かったと言えます)。ここで、4265円をマークした後に反転した理由について軽く説明しましょう。

ここまで移動平均線と下値支持線・上値抵抗線について述べてきました。チャートを分析する際はローソク足の組み合わせによって反転・反落ポイントを予想できることも基本的な知識として押さえておきたいところです。ローソク足の組み合わせによって相場の流れを把握する手法に「酒田五法」と言われるものがあります。

これは江戸時代の米商人である本間宗久(ほんまそうきゅう)によって考案されたテクニカル分析の一種です。米相場の投機で莫大な利益を得た手法ですが、現在の株式市場でも愛好者は多いです。現代でも十分に通用するテクニカル分析であると言えます。

その酒田五法で言うと、4265円をマークした翌日に、前日の大陽線の実体部分内で陰線が出現しています。これは「陽の陰はらみ」と呼ばれるローソク足の組み合わせであり、高値圏で出現すると反落のサインを示唆します。この原則通り、その後は下落基調に転じたのです。酒田五法については、特に底値圏での反転サインと、高値圏での反落サインを示すローソク足の組み合わせについては最低限頭に入れておきたいところです。

閑話休題。4265円をマークした後に、下値目安となるのが3835円と3770円を結んだ線です。最初は上値抵抗線として機能していましたが、3835円のラインを突破してからは下値支持線として機能すると述べました。したがって、4265円をマークした後に反落してからは、このラインで下げ止まるかに注目すべきでしょう。下値目安としては3770円~3835円のラインを想定します。相場格言で「頭と尻尾はくれてやれ」というのがあります。これは底値と高値を律儀に追うことを戒める格言ですが、下値予測をする場合もあまり厳密に考えない方が良いでしょう。一応のラインは想定しますが、大事なのは「下値で即座にエントリーするのではなく、下値から反発したところでエントリーすること」です。これは注意しておきたいポイントですが、エントリーする際は反転したことを「確認」することが重要です。チャートで言うと、3790円(9月18日)をマークした後に反転を確認してからエントリーするのです。

ここまでエントリーポイントを中心に述べてきましたが、ロスカット基準についても同様の考え方をします。エントリーポイントと同じく、ロスカット基準も下値支持線・上値抵抗線を組み合わせた「節目」を意識します。上値抵抗線を明確に突破し、もう一段上のステージに移行したら上値抵抗線は下値支持線として機能すると述べました。ロスカット基準についても、下値支持線を明確に割ったらロスカットを実行するのが原則です。エントリーポイントとロスカット基準をセットで考えるメリットは、両者が同じラインを「節目」として意識している点にあります。仮にロスカットする状況に至っても、それがエントリーポイントに近接したラインであれば損失リスクを最小限に抑えることができます。こうした視点はリスク管理の面で非常に有効であり、初心者にとっても分かりやすい指標となるのでお勧めします。

(b)- ① 「ダウ理論」は「節目」を意識したトレードと親和性の高い理論

プレミアグループ(7199)のチャート分析で、エントリーポイントとロスカット基準の設定方法について具体的に考察しました。その際、高値・安値に着目し、それらを水平に結んだラインを「節目」として意識すべきことを述べました。今回は、こういった「節目」を意識するトレードの基になっている考え方について簡単に説明しましょう。特に、エントリーポイントやロスカット基準を設定する際に応用できる「ダウ理論」について述べていきます。

まず、「ダウ理論」とは19世紀終わりにチャールズ・ヘンリー・ダウが考案した「平均株価」という株価動向を評価するための理論のことを言います。株価は景気の良しあしによって変動します。ただ、個別株に限定してみると、必ずしも一対一対応ではなく、好景気でも株価が下落したり、不景気でも株価が上昇したりします。それを「平均株価」という概念を導入すると、景気と株価の関係が一対一対応になりやすく、相場全体の流れを知る上で非常に便利な指標として利用されるようになったのです。「ダウ平均株価」として今なお有名です。

「ダウ理論」には6つの考え方が集約されているのですが、ここでは個別株のチャートを見ていく上で有益な一つの考えを紹介します。それは「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」という考えです。トレンドは明確に転換するまでは一定期間継続します。投資の基本であるトレンドフォロー(=順張り)ではこの規則性を意識することが非常に重要になります。

「ダウ理論」では上値抵抗線と下値支持線を意識したチャート分析があります。別名「レジスタンスライン」や「サポートライン」などと呼ばれたりします。ただ、トレンドフォローをする上で最も見るべきポイントは下値支持線です。確かに上値を見ることも重要ですが、それは需給のバランスによって変わってきます。買い手が優勢になれば上げ足は速まりますが、それは「ダウ理論」以外の指標も併せて見なければ予測することはできません。

「ダウ理論」は押し目を推測する上で大いに役立ちます。もちろん、価格帯別出来高や一目均衡表、ボリンジャーバンドなども併せて見るべきですが、節目を見つけるという観点からは「ダウ理論」が最も簡便で有効に機能します。プレミアグループでのエントリーポイントとロスカット基準の設定は、「ダウ理論」の発想を参考にしています。相場に参加する人間の多くがどのポイントを意識しているかは、「ダウ理論」を利用すれば比較的容易に理解できます。

例えば、上昇トレンドが発生している銘柄で下値支持線で反発していることが過去のチャートの流れから推測できれば、そこが押し目になるだろうと予想することができます。下値目安を予想するときは「自分」が望んでいるポイントではなく、「他の投資家」が意識しているであろうポイントを探る方が合理的な判断を下すことができます。「ダウ理論」は他にも色々な考え方を内包した理論ですが、上記のポイントを意識するだけでも、「値ごろ感」で買うような感覚的なトレードをすることが少なくなるでしょう。それはつまり、損失リスクを最小限に抑えた冷静なトレードに繋がるのです。

(c) 利食いポイントは「過熱感」を示すテクニカル指標を参考にすべし

ここで利食いポイントについても触れておきます。上昇トレンドにある銘柄でも、いつ・どのラインで利益確定すれば良いのか判断に悩むところでしょう。実際、経験値が高い投資家でも天井で売ることはなかなか難しいです。そこで、一応の目安として、利食いポイントを設定する際に見るべき指標について述べておきます。利食いポイントを設定する際には、「過熱感」を示すテクニカル指標を参考にするのが良いでしょう。具体的に言えば、25日移動平均線との乖離率、RSI、ボリンジャーバンドなどです。それぞれについて、簡単に説明します。

(c)‐① 25日移動平均線との乖離率

一般に、現在の株価が25日移動平均線(以下、『25日線』と表記)と+10%以上離れている場合は、売りシグナルとして機能します。反対に-10%以上離れている場合は買いシグナルとして機能します。短期スイングにおいては、特に売りシグナルの方を重視します。25日線との乖離率を買いシグナルとして利用する場合は、カウンターフォロー(=逆張り)を意識したトレードになります。要するに、底打ち反転したポイントを狙うのです。ただ、25日線との乖離率がマイナスを示す時点で、チャートは下降トレンドに移行する可能性が高くなります。短期スイングの基本はトレンドフォロー(=順張り)であることを勘案すれば、マイナスの乖離率を指標として採用することはできません。

ちなみに、25日線との乖離率が+10%以上になると即座に急落するリスクが伴う訳ではありません。高値を更新する銘柄が+10%以上の乖離率で常時推移している局面は良く見られます。25日線との乖離率を指標として利用する場合は、あくまで参考程度に眺める方が良いでしょう。ただ、プラスの乖離率があまりに大きくなる場合は、調整局面に突入するリスクが非常に高くなります。「過熱感」を示す指標としてはメジャーであるので、参考にしている投資家は多いです。実際に、乖離率がプラスに大きく傾くと、売りが出やすくなります。したがって、そういった場合には適度に利食いを行ってポジション調整を行う方が賢明であると言えるでしょう。

(c)‐② RSI

RSI(=Relative Strength Index 「相対力指数」)は、「過熱感」を示す指標として一般に知られています。RSIの値は0%~100%の間で推移し、50%が基準値となります。そして、通常は70%以上を売りシグナルとして、反対に30%以下を買いシグナルとして機能します。ただし、25日線との乖離率を利用する場合と同様に、短期スイングでは売りシグナルのみを参考にします。チャートが上昇局面にある場合は、数値が徐々に上昇していきます。そして、70%以上を明確に超えると売りシグナルとして反落する可能性が高くなります。ただ、25日線との乖離率の場合と同じく、高値を更新する銘柄は常時70%以上である場合が少なくありません。「買われ過ぎ」を判定する指標としてはメジャーですが、あくまで参考程度に留める方が良いでしょう。利食いポイントを設定する際の参考指標として利用すると良いです。ただ、次に説明するボリンジャーバンドは、客観性という観点からは両者よりも利用価値は高いと言えます。

(c)‐③ ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に、上下に統計学を利用して算出された値動きに関する複数のラインを追加して構成されたテクニカル指標です。ラインは株価の一定期間のデータから標準偏差(σ=シグマ)を算出し、それを基にして移動平均線からの乖離率を±〇σで表現しています。この理論では、「株価は上昇と下降を繰り返すが、概ね移動平均線に沿った値動きをする」という考えが基礎にあります。したがって、移動平均線でトレンドを把握し、トレンドフォロー(=順張り)を基本にする短期スイングとの親和性は高いと言えます。

ボリンジャーバンドでは、株価があるバンド(=帯)の範囲で収まる確率を示してくれています。移動平均線を中心にして、順に±1σ、±2σ、±3σでバンドが並んでいます。それぞれのバンドの範囲に収まる確率は、±1σ内では約68.3%、±2σ内では約95.5%、±3σ内では約99.7%です。その中でも、特に±2σのバンドを短期スイングでは重視します。一般に、株価が+2σを超えると売りシグナルとして、反対に-2σを下回ると買いシグナルとして機能します。ただ、25日線との乖離率やRSIと同様に、ボリンジャーバンドも売りシグナルのみを利用します。したがって、株価が+2σを超えた場合は利食いポイントの目安とします。ちなみに、株価が+2σを超える確率は約5%です。25日線との乖離率やRSIと比較すると、客観性の高い指標であると言えます。「過熱感」を表す指標として上記3つの指標で迷った場合は、ボリンジャーバンドを参考にした方が良いでしょう。信頼性の高い指標として機能してくれるはずです。

以上、「過熱感」を判定する指標として代表的なものを紹介しました。短期スイングであるかどうかに関係なく、「天井圏」を正確に予測することは非常に難しいです。専業投資家であれば、急な潮目の変化に対応することはできるかもしれません。ただ、「頭と尻尾はくれてやれ」の格言に従うならば、安易な上値追いは避けた方が良いでしょう。全ポジションを解消するとまではいかなくとも、利食いポイントではポジションを徐々に縮小させる方向で調整した方が賢明です。短期スイングにおいては、小まめに利食いして着実に利益を確保することが原則です。手元にある資金量によって購入できる枚数が異なるので一概に言えませんが、購入単価の中で一番高いものから順次売却していくのが基本です。安値で購入したものはトレンド転換するまで引っ張り、高値で購入したものは適宜売却するのです。

株取引においてはメンタルがトレードに与える影響は思いの外大きいです。ポジションを大きく取っていると、常に不安感で心が折れそうになります。メンタルにも悪影響が出ます。そうした状態に置かれると冷静な判断力を失ってしまいがちになります。したがって、適度に利食いすることでメンタルのコントロールを図るのです。安値で購入した場合は、特に初心者は「売った後に急騰したら嫌だな」という心理状況になりやすいです。ただ、短期スイングにおいてはこうした感情は排除すべきでしょう。上場銘柄だけでも約3600あり、利益を得るチャンスは他に転がっています。個別銘柄に執着するのではなく、去り際はクールに行くべきです。

2‐④ チャート分析の精度を高める為にサブ的に利用するテクニカル指標について

短期スイングでは、移動平均線を用いてトレンドを把握し、下値支持線と上値抵抗線の組み合わせで「節目」を意識します。両者はエントリーポイントとロスカット基準として機能し、チャートを単純化して捉えることで判断の軸足がブレないトレードを行うことができます。そして、利食いポイントは株価と25日線との乖離率やRSI、ボリンジャーバンドを参考にして設定します。特にボリンジャーバンドは移動平均線を利用し、統計学の知識を応用したテクニカル指標であり、客観性の観点から信頼性の高い指標として紹介しました。メインで利用する指標としては基本的にこれらで十分であると考えています。ただ、チャートを眺める際は、より多くの指標を組み合わせた方が分析の精度は高まります。そこで、メインで使用する指標とは別に、より精度の高い分析をする際に有益な指標について簡単に紹介しましょう。

(d)‐① 一目均衡表

一目均衡表(いちもくきんこうひょう)は転換線・基準線・2本の先行スパン(=両者に挟まれた領域を『雲』という)・遅行スパンの5本のラインで構成されるチャートです。そのうち、短期スイングにおいては転換線・基準線・雲を重視します。短期スイングの時間軸は基本的に「2日~2週間程度」です。比較的短い時間軸でトレードをする以上、見るべきポイントは絞った方が良いです。転換線・基準線は、それぞれ移動平均線の5日線・25日線に対応するイメージです。転換線が基準線を上抜いたら好転(=ゴールデンクロス)、反対に転換線が基準線を下抜けると逆転(=デッドクロス)といいます。

ただ、一つ注意すべき点は、好転と呼ぶには基準線が上向きの状態、逆転と呼ぶには基準線が下向きの状態でなければなりません。そして、雲は抵抗帯を表し、ローソク足が雲の上側で推移すれば強い相場、下側で推移すれば弱い相場であると判断できます。短期スイングではチャートが上昇トレンドを形成している銘柄をトレードの対象にします。したがって、一目均衡表ではローソク足が雲の上側で推移し、なおかつ好転している状態の銘柄を選定することになります。では、一目均衡表を利用する際、どこに注目すれば良いのかについて説明しましょう。

これまで述べてきたように、上値を正確に予測することは極めて難しいです。上げ足を速めるかどうかは需給が決定します。需給は天候と同じく移り変わりやすいです。そこで、一目均衡表を利用する際は下値目安に注目すべきでしょう。上昇トレンドを描いている銘柄でも、株価は基本的に上昇と下降を繰り返しながら全体として緩やかに上昇していきます。それを見誤ると、下降のターンで安易にポジションを取ってしまい、含み損のリスクに直面することになります。そのリスクを回避する為に、一目均衡表は大いに役立ちます。

一目均衡表では値動きの推移が視覚的に分かりやすいです。過去のどのポイントで反転しているかが把握しやすいと言えます。したがって、一目均衡表では過去の反転ポイントについて傾向を把握することに努めたいです。一般に、上昇トレンドを描く銘柄は反転ポイントに一定の「癖」があります。その中で、反転ポイントの目印になりやすいのが、転換線・基準線・雲の3つです。最後の雲に関しては「雲上限」が一応の目安になります。短期スイングで上記の3つを重視する理由はまさに下値目安として意識されやすいからです。そういった点を踏まえると、一目均衡表は下値目安を判断する際に強力なツールとなるでしょう。

(d)‐② 価格帯別出来高

「出来高は株価に先行する」と言われます。出来高は売買が成立した取引量を表し、需給のバランスを測るバロメーターとして機能します。一般に、株価が底値圏で出来高が急増すれば、買い手が増えたことを表します。反対に、高値圏で出来高が急増すれば売り手が増えたことを表します。上昇トレンドを描く銘柄は、初動の場面で出来高が急増することが多いです。25日出来高平均線が一つの目安であり、これを明確に上回ると株価は上昇しやすくなります。「出来高は株価に先行する」と言われる所以です。

人気度を測る指標としては利用価値は高いでしょう。そして、出来高を価格帯別に表記したのが価格帯別出来高です。これは、ある価格帯ごとの出来高を表し、どの程度の商いがあったのかを測ることができます。需給のバランスを見る上で役立つ指標です。見るべきポイントは非常にシンプルです。現在の株価よりも上の価格帯の出来高が大きければ、そこが「抵抗帯」として意識されます。反対に、現在の株価よりも下の出来高が大きければそこが「支持帯」として意識されます。出来高が大きい価格帯は「心理的な節目」として意識されやすいです。例えば、上昇局面で上の価格帯の出来高が大きければ、そこで売りたいと思っている人間が多いことを意味しています。

価格帯別出来高を一つの基準にすれば、上の価格帯で出来高が大きい場合はその手前で手放すという戦略が考えられます。反対に抵抗帯を明確に上抜けると、今度はそこが支持帯として機能することになります。「心理的な節目」を突破することで、値動きが軽くなり、新たな買い手が出現しやすい状況が生まれるのです。チャートの下値支持線・上値抵抗線の組み合わせで「節目」を意識したのと同じ発想です。価格帯別出来高は値動きの軽さや底堅さを予測するのに役立ちます。特にある価格帯における需給を見るという点で、価格帯別出来高は様々なヒントを与えてくれるでしょう。

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3.トレードのスキルを向上させても、メンタルのコントロールをしなければトータルでは勝てない

これまで、チャート分析を通してエントリーポイントやロスカット基準の設定、利食いポイントなどについて具体例を挙げて説明してきました。短期スイングにおいては、好業績でチャート形状の綺麗な銘柄を選定する方がリスクは低いです。損失に悩む投資家は、闇雲にトレードする場合が多いと言えます。戦略を練ることなくトレードするのは非常にリスクが高いです。ただ、実際のトレードにおいては好業績でチャート形状が綺麗な銘柄でも損失リスクに直面することはあります。いくら損失リスクを低減させるように努めても、相場全体の地合いには勝てません。

個別銘柄のチャートが上昇トレンドにあっても、地合いが急激に悪化すれば容赦なく売り込まれます。「株はタイミングがすべて」と言われるのは、そういう意味です。極論すれば、タイミングさえ合えばどんな銘柄でも利益を積み重ねることはできます。ただ、「言うは易く行うは難し」でしょう。現実的には、やはり損失リスクを考えて低リスクなトレードを選択する方が賢明です。その上で、より重要なことを最後の章で述べていこうと思います。

ここまで説明してきたことの大半は、「理屈」の部分です。短期スイングにおいては、チャート分析は「本丸」です。チャート分析がほぼ全てだと言っても過言ではありません。しかし、これだけではリスク管理としてはまだ不十分です。私の持論では、トレードにおいて「理屈」でカバーできるのは全体の6割程度です。相場自体が人間心理で動いている以上、理屈だけでは勝てません。相手は自然現象と同じく自分の意思でコントロールすることは出来ない代物です。コントロールできるのは自分自身のメンタルだけでしょう。要するに、残りの4割はメンタルのコントロールに他なりません。そこで、最後の章ではメンタルをコントロールする為に気を付けるべきポイントについて話をしていきます。

3‐① 他人はすべて「敵」であり、甘い言葉に騙されてはいけない

株は情報戦です。有益な情報をいかに短時間で集め、それをトレードに反映させるべきか。そこに神経を使うのは当然と言えます。しかし、自分ひとりで情報を集め、それを精緻に分析するには限界があります。関連記事「ツイッターでフォローすべき【個人投資家の特徴】とは?」では、情報収集の一例を提示しています。そこでは、客観的なデータを基に、メリットとデメリットの双方に触れつつ、バランス感覚の優れた意見を発信する投資家をフォローすべきであるということを述べました。自分の能力には限界があります。他の優れた人間の考察力を参考にするという姿勢はトレードにおいては必須であると言えます。それと同時に、他人に依存し過ぎないという姿勢も重要です。

ツイッターでは、様々な個人投資家が積極的に情報発信しています。中には、いわゆる「当たり屋」と呼ばれる人間も存在しており、特定銘柄についてポジティブな内容ばかりを呟いています。情報リテラシーが備わっていれば問題はありませんが、特に初心者は彼らの言う事を鵜呑みにしやすいと言えます。これはある意味仕方のないことかもしれません。初心者は株に関する知識と経験が圧倒的に不足している以上、他人の発信する情報が正しいのか否かを適切に判別することが難しいからです。「当たり屋」の推奨する特定銘柄が実際に急騰する場合があるので尚更です。「当たり屋」の提供する銘柄情報を参考にするのは一向に構わないと思います。株は「美人投票」であり、人が集まる銘柄は投資効率が高い側面を持っているからです。ただ、そういった銘柄は人気離散した場合は往々にして悲惨な状態になります。

これまで述べてきたように、実際にトレードする時は様々な角度から色々な指標を参考にして総合的な判断を下します。このプロセスは慣れるまでは非常に面倒な作業です。その点、「当たり屋」の発信する情報を頼りにトレードするのは精神的にも楽でしょう。銘柄選定は彼らに任せ、目標株価を提示されれば「それまで何もしなくても大丈夫だ」などと思って安心したりします。ただ、実際のトレードにおいては株価が自分の思い通りに動く展開は頻繁には起こりません。様々な要素が複合的に絡み合って、当初は想定していなかった値動きを見せることはよくあります。それに、「当たり屋」も慈善事業で情報発信しているわけではありません。彼らは小口の個人投資家に自分の推奨する銘柄を買ってもらうことに心血を注ぎます。いわゆる「提灯買い」を期待して積極的に情報発信しているのです。そのことを忘れてはなりません。

買う買わないの最終的な決定権は自分自身にあります。「当たり屋」の情報を頼りにする場合も、あくまで参考程度に留めておくべきでしょう。株の世界でWin-Winの関係を期待するのは完全な誤りです。その証拠に、「当たり屋」が推奨した銘柄が人気離散して苦杯をなめるのは小口の個人投資家です。投資は自己責任なので、彼らを擁護することはできません。トレードは銘柄を購入し、売却するまでがワンセットです。他人の意見を盲目的に信じ、自分で思考することなく利益だけ得ようとするのは都合の良い発想でしょう。他人はすべて「敵」であり、意見を参考にしても鵜呑みにすることは慎んだ方が良いです。極論すれば、利用すべきところは利用し、自分だけ助かれば良いという厳しい態度で臨む姿勢も時には必要です。実生活でそれを実践するのは大いに問題はありますが、株の世界では高尚な倫理観は時として邪魔になります。バランス感覚の優れた投資家を参考にせよ、というのはそういった発想から生まれた考えなのです。

3‐② チャートが崩れたら即退散

チャートが崩壊しても逃げない投資家は思いの外多いです。よく「現物だから安心だ」などという言葉を耳にします。確かに、信用取引をしている場合は追証リスクは常に付きまといます。特に保有銘柄が急落した場合は現物よりも損失額は大きくなります。ただ、現物であれ、信用取引であれ、資金拘束をされるという点では同じです。また、含み損を損失に勘定しない投資家は多いですが、これも誤りです。損失は確定させなければ実現損にはなりませんが、放置していても状況が好転することはあまりありません。

もちろん、後に含み損が解消され、大きな利益を得られるという確証がある場合はそのままでも良いでしょう。むしろ、戦略的に買い増しを進める投資家も居ます。ただ、そういった戦略はあまりお勧めしません。特に、短期スイングにおいてはリスク管理が最も重要です。チャート分析を重要視する以上、チャートが崩れる兆しが見えた時点で即退散です。含み損はメンタルにも悪影響を及ぼします。判断力を明晰な状態に保つ為にはメンタルに悪い要素はできる限り取り除いた方が良いです。仮に同じ銘柄にエントリーする場合は、下落が落ち着いてからでも十分に間に合います。

優れた投資家になる為には、描いたシナリオに相違があった場合に即座に対応できるようにならないといけません。つまり、ロスカットを適切に行うということに尽きます。損失リスクを拡大してしまう投資家の多くは、ロスカットをためらってしまうことにあります。ロスカットは「悪」ではありません。短期スイングに関係なく、利益とは別に許容する損失リスクも予め計算しておいた方が良いです。利益ばかりに目が向くと、ロスカットすることに抵抗を覚えます。しかし、投資においてはトータルで勝つことが大切です。投資で常勝することを望むのは現実的ではありません。

「損小利大」という言葉がありますが、損失は最小限に留め、利益はできるだけ伸ばすのが投資のセオリーです。チャートが崩壊した銘柄が即座に値を戻す光景はめったにありません。大抵はジリ下げか、戻しても途中で失速する場合が多いです。短期スイングでは、「過熱感」を示す指標などを参考に、適度に利食いを行う必要性について述べました。これは、突発的な地合いの悪化によって、大きな損失を被るリスクを最小限に抑える為の戦略でもあるのです。利食いを適度に行っていれば、仮に損失が出ても致命的なダメージを負うことはないです。チャートが崩壊したら即退散、という言葉は非常に現実的な振舞いなのです。

3‐③ 「塩漬け」をいかに防ぐか?

株取引をしていると、常に「塩漬け」のリスクが付きまといます。「塩漬け」とは、購入した銘柄が値下がりし、損切りしようにも含み損が大きい為、切るに切れない状態のことを言います。これは特に投資の初心者が陥りやすいです。「塩漬け」の銘柄を抱えると、日常生活にも悪影響を及ぼします。常に保有銘柄の値動きが気になり、気付いたらスマホで証券口座にアクセスし、現状を確かめる。期待通りの値動きをしていないと落胆する。「どうにか買値まで戻って欲しい」と祈りながらも、思い通りの展開にならないと徐々にイライラしてくる。負のスパイラルです。

株価の値動きなどは、自然現象と同じく自分の意思ではコントロールできません。もちろん、自然現象と異なり株価の行く末を左右するのは群集心理です。人間が関わっている以上、人為的要素が絡むのは大いにありますが、自分の意思でコントロールできないという点では同じでしょう。株式投資は潮目の変化に敏感にならないといけません。それは、相場全体の流れなのか、それとも個別銘柄の値動きなのか、取引の対象としているものによって異なります。しかし、流れを読むという行為は株式市場で上手く立ち回る為には必須の能力です。

ただ、初心者の頃はこの「流れを読む」ということがどうしてもできません。単純に知識と経験が不足しているからです。しかし、何とかしてこの能力を養成せねばなりません。初心者の場合は優秀な投資家の投資に対する考え方を模範にし、徹底的に真似することが近道になります。模範にする投資家が、どのようにその銘柄を見ているのか、また何故そのような判断をしたのか、について自分なりに分析して欲しいと思います。それを自分の投資スタイルにフィードバックすると、色々な「気づき」が見つかるでしょう。そして、徐々に自分に合うようにカスタマイズしていくのです。

実は「塩漬け」については、上記の「流れを読む」のに加えて、「感情のコントロール」も重要になってきます。人間は損をした時の方が強く記憶に残ります。だから、仮にそれまでに大きな損失を出していたとしたら「次こそは」という気持ちに傾きやすくなります。「塩漬け」になってしまうのは、エントリーするタイミングを誤ってしまった場合が多いです。これはスキル不足に起因する面がありますが、それ以上に勝負を急いでしまった面もあるでしょう。

「塩漬け」を防ぐには非常にシンプルな思考で対処できます。それは、「分からないものには手を出すな」と「チャートが崩れたら逃げろ」です。チャートが上昇トレンドを描くにはある程度の時間を要します。一方、反落してチャートが壊れるのは一瞬です。同じトレンドでも時間的格差は大きいです。一部例外はありますが、大抵は原則通りの動きを示します。この事実を知っているだけでも「塩漬け」を防ぐことはできるでしょう。もちろん、一銘柄に資金の全てを投入すべきではありません。投入する資金量の多寡によって、感情のコントロールの難易度は変わるからです。最悪の結果にコミットしない為にも、資金管理にもくれぐれも注意しましょう。

3‐④ 時には休むべし

いよいよ、最後の項目です。これまで、メンタルをコントロールする為には、他人の提供する情報を盲信しないことや、ロスカットを軽視しないことが重要であると述べました。それに加えて、時に相場から離れることを最後にお勧めします。「休むも相場」という言葉のように、よく分からない局面などではあえて勝負しないという判断は必要です。毎日のように相場に臨んでいると、物事を見る際の視野が狭くなってしまいます。短期スイングにおけるモットーは、「勝てる局面にだけ勝負すること」です。

勝てる局面とは、あきらかに相場の方向性が明確な場合を指します。相場全体が上げ相場であれば、どんな銘柄でも値上がりします。上昇過程であれば短期スイングでも大きな利益を積み重ねることができます。逆に総悲観ムードが市場全体を覆っている場合は、相場から一旦離れて状況の推移を見守るのです。個別銘柄に取り組む時と同様に、底値を律儀に追うのは控えた方が良いでしょう。底打ち反転した状況からエントリーしても十分に間に合います。相場を休む機会を適宜設けることによって、冷静に状況を眺めることができます。潮目を読む漁師のように、好漁場だと判断できる場合のみ参戦するのです。

「休むも相場」を実践することで、投資における勝率は飛躍的に向上します。リスク管理というのは、資金管理のことばかりを言うのではありません。不確定要素が多くあり、相場の成り行きが予想できない場合は静観の立場を守るというのもリスク管理の一つです。個人投資家の9割が勝てないのは、メリハリをつけて相場に臨んでいないことにあります。損失をゼロに抑えることは不可能ですが、致命的なダメージを負わない限り、相場で勝つチャンスはいくらでもあります。そういったチャンスを逃さない為には、「休むも相場」という格言を守るメリットは大きいと言えます。

4.終わりに

今回の記事では「短期スイング概論」と題して、短期スイングをメインに据えたトレード手法について述べてきました。ここで紹介している知識に目新しいものはありません。どれも一度は目にする理論や考え方です。ただ、投資においては小難しい理論は不要と考えています。現に、シンプルな戦い方でも十分に利益を積み重ねることは可能です。「困難は分割せよ」というデカルトの有名な言葉があります。複雑に見える現象でもシンプルに捉えれば解決策は見えてきます。

株取引においても同様で、チャート上によく分からないラインを複数引くよりも、高値と安値に着目した水平なラインを目安に戦略を練る方が見るべきポイントは絞られます。水平のラインを活かす意味合いでも、業績面・チャート面からも上昇トレンドを描いている銘柄を選定することをお勧めます。それに加えて、テクニカル指標を参考にする場合も基本的な知識だけで事足ります。

参考にすべきポイントは述べてきました。後は、実際にトレードをする中で実践を積み重ねるだけです。トレードのスキルは場数を踏むことで根本的に鍛えられます。今回の記事で提示した方法論はあくまで一例です。もちろん、効果的で現実的な手法であると自負していますが、今後の長い相場生活の中で自分なりにアレンジしていくことも同時に望んでいます。

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個人投資家。株式投資。テクニカル分析をメインに、短期スイングでトレード。 原稿執筆ライター。元塾講師(5年)。慶應SFC中退→立教卒。

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